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東京地方裁判所 昭和40年(行ウ)4号 判決 1968年3月14日

原告 株式会社 まるき百貨店

被告 八王子税務署長

訴訟代理人 福永政彦 外三名

主文

原告の請求を棄却する。

訴訟費用は原告の負担とする。

事実

一  当事者の求める裁判

(原告)

原告の昭和三七年八月三〇日の合併による清算所得の確定申告に対し、被告が昭和四〇年四月八日付でした更正処分を取り消す。

訴訟費用は被告の負担とする。

(被告)

主文同旨

二  原告の請求原因

(一)  原告は、洋品販売業を営む法人で青色申告書提出の承認をうけているものであるが、昭和三七年八月三〇日に訴外株式会社丸木商店(以下「被合併会社」という。)を合併したので、同年一〇月三〇日被告に対し右合併による清算所得の確定申告をしたところ、被告は昭和三九年三月一八日付で清算所得金額を一、九七七万一、六一八円(うち積立金及び非課税所得から成る部分の金額六五万七、四二九円、積立金及び非課税所得から成る部分の金額以外の金額一、九一一万四、一八九円)、右清算所得に対する法人税額を八三五万〇、五八〇円とする更正処分をした。そこで、原告は、同年四月一六日右更正処分につき東京国税局長に審査請求をしたが、同年一〇月六日これを棄却されたので、右更正処分取消しの訴えを提起したところ、被告は、昭和四〇年四月八日付で同処分を全部取り消し、改めてこれと同一内容の更正処分(以下これを「本件更正処分」という。)をした。

(二)  しかし、本件合併による清算所得金額は八〇〇万円(うち積立金及び非課税所得から成る部分の金額六五万七、四二九円、積立金及び非課税所得から成る部分の金額以外の金額七三四万二、五七一円)であるから、これに対する法人税額は三二八万八、七五〇円とするのが正当であり、本件更正処分は清算所得金額の計算を誤つたものである。のみならず、右更正処分は、更正理由の附記が十分でないという点においても違法である。

よつ、本件更正処分の取消しを求める。

三  被告の答弁及び主張

(一)  請求原因(一)の事実は認めるが、(二)の主張は争う。

(二)  本件更正処分は次に述べるとおり適法である。

本件合併当時施行されていた旧法人税法(昭和四〇年法律第三四号による改正前のもの)一三条一項二号によれば、法人が合併した場合における被合併法人の清算所得は、「合併法人が被合併法人の株主、社員又は出資者に対し交付する株式又は出資の価額の総額及び金銭の総額の合計額が、被合併法人の合併当時の資本又は出資の金額をこえる場合のそのこえる金額のうち、被合併法人の合併当時の資本積立金額及び再評価積立金額以外の金額から成る部分の金額」によるものとされているが、当時施行の旧法人税法施行規則(昭和四〇年政令第九七号による改正前のもの)二三条の一一は、右合併による清算所得金額の計算方法について、「合併法人が納付する清算所得に対する法人税又はその法人税額に係る地方税法の規定による道府県民税額もしくは市町村民税額もしくは清算所得に対する事業税額に相当する金額は、これを合併法人が被合併法人の株主、社員又は出資者に対し合併により交付する金銭とみなして清算所得金額を計算する。」と定めている。ところで、合併法人が納付する清算所得に対する右法人税額等に相当する金額(以下これをみなし交付金という。)は、次の算式によつてこれを計算することができる(国税庁通達昭和二八年一〇月三一日直法一―一一九の四七参照)。

なお、以下において使用する符号は次のものを示す。

X みなし交付金額

Y 清算所得金額

R 合併法人が被合併法人の株主等に対し交付する株式等の価額の総額及び金銭の総額の合計額が被合併法人の合併当時の資本又は出資の金額をこえる場合のそのこえる金額のうち、被合併法人の合併当時の資本積立金額及び再評価積立金額以外の金額から成る部分の金額(ただし、みなし交付金額を除く)

P Rのうち積立金及び非課税所得から成る部分の金額

Q Rのうち積立金及び非課税所得から成る部分の金額以外の金額

A YのうちPに対する法人税の税率

B YのうちP以外の金額すなわちQ+Xに対する法人税の税率

C Yに対する地方税法の規定による道府県民税及び市町村民税の税率の合計

D Yに対する事業税の税率

図<省略>

算式

X={P(A+AC)+Q(B+BC+D)}/{1-(B+BC+D)}

右算式の成立根拠は次のとおりである。

Y=R+X=P+Q+X…………………………………(1)

X=P(A+AC)+(Y-P)(B+BC+D)…(2)

(1)式を(2)式に代入すると

X=P(A+AC)+(P+Q+X-P)(B+BC+D)

=P(A+AC)+(Q+X)(B+BC+D)

=P(A+AC)+Q(B+BC+D)+X(B+BC+D)

X-X(B+BC+D)=P(A+AC)+Q(B+BC+D)

X{1-(B+BC+D)}=P(A+AC)+Q(B+BC+D)

X={P(A+AC)+Q(B+BC+D)}/{1-(B+BC+D)}

そこで、本件の場合についてみると、原告が被合併会社の株主に対し現実に交付した株式等の総額は一、六〇〇万円、被合併会社の合併当時の資本金額は八〇〇万円であり、被合併会社には資本積立金及び再評価積立金がないから、Rは八〇〇万円となり、うちPが六五万七、四二九円、Qが七三四万二、五七一円であった。そして、Aは一〇〇分の二〇(旧法人税法一七条一項三号)、Bは一〇〇分の四三(同上)、Cは一、〇〇〇分の一三五(昭和四〇年法律第三五号による改正前の旧地方税法五一条一項、三一四条の六第一項)、Dは一〇〇分の一二(同法七二条の二二第一項)とそれぞれ定められているから、これらの各数値を前記算式にあてはめると、みなし交付金(X)が一、一七七万一、六一八円となることは計算上明らかである。したがつて、本件の清算所得金額(Y)は、前記八〇〇万円(R)に右のみなし交付金一、一七七万一、六一八円を加えた合計一、九七七万一、六一八円(うち積立金及び非課税所得から成る部分の金額六五万七、四二九円、積立金及び非課税所得から成る部分の金額以外の金額一、九一一万四、一八九円)となり、これに旧法人税法一七条一項三号所定の税率を乗ずると、右清算所得に対する法人税額は八三五万〇、五八〇円となる。

よつて、被告は、原告の申告に係る清算所得金額及びこれに対する法人税額を右のとおり更正したものである。

(三)  なお、原告は、右更正処分に附記された理由が不備であると主張するが、本件更正通知書には更正の理由が十分に明らかにされているから、原告の右主張は失当である。

四  被告の主張に対する原告の答弁及び反対主張

(一)  被告の前項(二)の主張については、みなし交付金額を清算所得金額に含めるべきであるとの点ならびにみなし交付金の計算式の合理性の点を除き、その余は争わない。

(二)  旧法人税法一三条一項二号は、合併法人から被合併法人の株主等に対し現実に交付する株式又は出資の価額の総額及び金銭の総額の合計額を基礎として清算所得金額を計算すべきことを定めたものであつて、そのほかに合併法人が納付する右清算所得に対する法人税額等までも株主等への交付金とみなして清算所得金額を計算することを認めたものではない。すなわち、まず、合併により被合併法人の株主等に交付される株式等に対する課税の変遷をみると、昭和二二年三月三一日施行当時の所得税法五条一項三号は、「法人が合併した場合において、被合併法人の株主等が合併法人から合併により取得する株式又は出資の価額及び金銭の額の合計額が、被合併法人の株式又は出資を取得するために要した金額を超過するときは、その超過金額のうち、被合併法人の積立金額で合併法人に引継がれなかつた金額から成る部分に対応する金額を、法人から受ける利益の配当又は剰余金の分配とみなして当該株主等に対し所得税を課する。」ものと規定して、株主等個人段階での所得課税を行なつていたのであるが、その後の税制の改革により、右の株主等に対する所得課税を廃止するとともに、これに代えて、旧法人税法一三条一項二号が、右株主等の課税所得相当分を被合併法人の清算所得として合併法人に対し法人税の納付義務を負わせることに改めたものである。この経過からわかるとおり、清算所得に対する課税の本質は、もともと被合併法人の株主等個人の所得について課税するという点にあるのであつて、旧法人税法がこれを法人段階で課税することとしたのは、あくまでも本来ならば右株主等個人に課税すべきものであることを前提としつつ、もつぱら多数の株主等に対する課税の煩を避けるという徴税上の便宜から、合併法人をして右株主等の所得税相当分の納税を代行させる趣旨に出たものにすぎない。したがつて、かような清算所得に対する課税にあたつては、従来被合併法人の株主等個人に所得税を課していた場合の所得の計算と同様の方法によつて清算所得金額を計算すべきが当然であり、また、その税額も株主等個人の段階において所得税を課した場合の税額をこえるものであつてはならないのである。もし個人段階の課税から法人段階の課税に改めたことにより、株主等の所得とならないものまでも法人の清算所得金額に含めて課税するならば、結果においてなんら所得のないところに課税を認めるのと同様であり、実質課税の原則に反するものといわなければならない。このように考えると、旧法人税法一三条一項二号にいう「合併法人が被合併法人の株主等に対し交付する株式等の価額及び金銭の合計額」とは、右株主等の所得となる積極的な利益、すなわち被合併法人の株主等に対して現実に交付される株式等の価額及び金銭の合計額をいい、その他のものを交付金とみなしてこれに含めることを認める趣旨ではないと解すべきであつて、旧法人税法がみなし交付金に関してなんら明文の規定を設けなかつたのも、これを清算所得に含めるべきではないということを当然のこととしたからにほかならない。もしみなし交付金をも清算所得に含める趣旨であつたならば、同法九条の六第二項がみなし配当について特別に詳細な規定をおいているのと同様に、みなし交付金についても明文をもつてその旨を規定したはずである。のみならず、みなし交付金が清算所得に含まれるとすると、みなし交付金額が増加すれば清算所得金額も増加する結果、際限なく繰りかえして法人税等を課税せざるをえないというまことに不合理な結果を生ずることになる。被告は、この不合理を糊塗するために、国税庁通達昭和二八年一〇月三一日直法一―一一九の四七の定める特別の計算式によつて清算所得金額を算出すべきであるとしているが、右の計算方法がまつたく恣意的なものであることは、次のことからも明らかである。すなわち、本件の場合、基本的な清算所得(被合併会社の株主が原告から現実に交付を受けた株式等価額の合計額から合併当時の被合併会社の資本金額を差し引いたもの)が八〇〇万円であることは被告も認めるところであるから、これを株主一人に対するみなし配当として個人段階で所得税を課する場合の税額を計算すると、三一五万五、五〇〇円となるのに対し、法人段階で課税するものとして被告の計算方法による清算所得金額を基礎にすると、その法人税額は実に八三五万〇、五八〇円となるのであり、これはあたかも八〇〇万円の所得者に対し八三五万円余の税を課するのと同様であつて、その不当であることは言を要しない。これらは、ひつきよう、みなし交付金を清算所得に含めること自体の不合理性を示すものであつて、以上いずれの点からしても、旧法人税法一三条一項二号の規定はみなし交付金を清算所得に含めて清算所得金額を計算することを認めたものではないと解するのが正当である。しかるに、旧法人税法施行規則二三条の一一は、みなし交付金を清算所得に含めて清算所得金額を計算すべきことを定めているが、右に述べたところよりすれば、同条の規定は旧法人税法一三条五項の準用する同法九条八項の規定による命令への委任の範囲を逸脱したものとして無効であるといわなければならない。けだし、右旧法人税法の委任規定は、たんに清算所得の計算に関する事項についてのみ命令に委任したものであり、法の予定しないみなし交付金を清算所得に含めるというような清算所得の範囲に関する事項についてまで命令で定めることを許したものではないからである。

以上の理由により、みなし交付金額を清算所得金額に含めて清算所得に対する法人税額を算出した本件更正処分は、租税法律主義に違反するばかりでなく、実質課税の原則からしてもとうてい許されないものである。

五  原告の主張に対する被告の反論

(一)  清算所得に対する法人税額等を交付金とみなして清算所得金額を計算し、これを法人税の課税標準とすることは、旧法人税法一三条一項二号自体に規定されているというべきであり、このことは、合併の場合と並んで清算所得が発生する法人の解散の場合と対比すれば、いつそう明瞭である。すなわち、旧法人税法一三条一項一号によれば、法人が解散した場合においては、「その残余財産の価額が、解散当時の資本又は出資の金額、資本積立金額及び再評価積立金額の合計額をこえる場合のそのこえる金額」が清算所得とされるのであるが、解散法人の株主等に分配されるものは、この清算所得から更にこれに対する法人税額等を差し引いた残りのものである。これに対し、法人が合併した場合には、合併法人は被合併法人の資産を受け入れ、被合併法人の株主等はその地位を失うとともに、合併法人から新株式等及び金銭の交付を受けるが、この関係はあたかも被合併法人の解散による清算の場合と類似し、右の交付株式等及び金銭を実質的にみれば、被合併法人が解散した場合にその株主等に分配される残余財産とその性質を同じくするものといえる。したがつて、このような交付株式等及び金銭については法人の解散の場合の清算所得に対する課税と同様に取り扱うのが相当であつて、旧法人税法一三条一項一号と並んで二号の規定が設けられたのもこの故である。ただ、合併の場合は、租税立法技術上清算所得に対する法人税等は合併法人がその納付義務を負担し、被合併法人ないしその株主等はこれを負担しない制度となつている関係上、法人の合併の場合を解散の場合と課税上同様に取り扱うためには、被合併法人の株主等が合併法人から受ける利益すなわち解散の場合の清算所得に相当するものを算定するにあたり、現実に被合併法人の株主等が交付を受けた株式等の価額及び金銭の総額のほかに、合併法人が納付する清算所得に対する法人税額等に相当する金額を加えなければならないのであり、この後者がみなし交付金といわれるものである。以上の解散と合併の場合を本件の係数によつて比較説明すれば別紙(一)のとおりであり、みなし交付金一、一七七万一、六一八円を清算所得に加算することによつてはじめて合併による清算所得金額が解散の場合のそれと同額になるのである。この関係を図示すれば次のとおりである。

解散の場合

図<省略>

合併の場合

図<省略>

このように解散又は合併により株主等の利得したものが実質上同額であれば、法人税法上は同一の清算所得金額が算出されるようになつているのであつて、経済的にみて実質上合併交付金と同視しうるみなし交付金を清算所得に含めることはなんら実質課税の原則に違反するものではなく、かえつて実質にそう合理的な清算所得の計算方法である。要するに、みなし交付金は、その性質上清算所得の一部を構成し、税法上は合併交付金に含まれるべきものであつて、旧法人税法一三条一項二号にいう「合併法人が被合併会社の株主等に対し交付する株式等の価額の総額及び金銭の総額の合計額」とは、右述のような実質的意味に理解すべきであり、株主等に現実に交付されるもののみをいうと解すべきではない。したがつて、みなし交付金額を清算所得金額に含めて法人税を課することが租税法律主義に違反するというのは当らない。

(二)  仮に清算所得のなかにみなし交付金を含むことが旧法人税法の前記規定の文言からはしかく明白でないとしても、税法には技術的性格があり、具体的な課税に必要な所得の計算方法について細部にわたつて法律自体で詳細な規定を設けることが困難な場合があるから、法律では大綱のみを定め、細目的な規定は法律の定める範囲内で政令に委任することも税法の性格上許容されるべきものである。旧法人税法一三条五項が同法九条八項の規定を準用して、清算所得の計算に関し必要な事項を定めることを命令に委任したのはかような理由によるものであり、また、ここにいう計算方法とは、法律に定める大綱を具体化することを指すものと解すべきである。ところで、法人の合併の場合にみなし交付金は清算所得に含まれると解することが法の規定にもつとも合致することは前記のとおりであり、旧法人税法施行規則二三条の一一は、合併法人が被合併法人の株主等に交付する株式等の価額の総額について細目的、技術的な計算方法を定めたものであるから、同規則は旧法人税法一三条五項による委任の趣旨をこえるものではなく、適法有効な規定というべきである。

(三)  原告は、みなし交付金を清算所得に含めることは清算所得に対する課税の由来ないし原則を無視するものであつて、前掲通達の定める計算方法によつた場合、あたかも所得以上の税を課したと同様な結果となることからしても、その不合理なことは明らかであると主張する。しかしながら、合併交付金に対し個人段階で所得税を課する場合との不均衡を論難する原告の所論は、そのいわゆる基本的な清算所得なるもの、すなわち被合併法人の株主等が合併法人から現実に交付を受けた株式等の価額の合計額から合併当時の被合併法人の資本金額等の合計額を差し引いたものが、個人段階での課税では、株主等が分配を受ける清算所得からこれに対する所得税や地方税法の規定による道府県民税及び市町村民税を差し引いた残りのものにあたるはずであるのに、これをこれらの税額等の控除前のものと誤認している点において、その主張の前提に大きな誤りがある。すなわち、清算所得に対する法人段階での課税と個人段階での課税の合理性を比較するためには、左図のとおり、(C+B)と(C′+B′)、あるいは(C)と(C′)を比較すべきであるのに、原告は、(B′+C′)がBに等しい場合の税額を算出し、これとCとを比較しているのであつて、比較すべき対象を誤つている。

法人段階で課税する場合

図<省略>

個人段階で課税する場合

図<省略>

そこで、本件の場合を昭和二七年法律第一二七号による所得税法における個人段階での課税に置きかえてその所得税、地方税を計算してみると、その合計額(C′)は、別紙(二)記載のとおり、変動所得の平均課税の適用を受けた場合が一、一七四万七、三四〇円、そうでない場合が一、二五一万九、七六〇円となり、いずれにしても法人段階で課税した場合のみなし交付金額(C)とほぼ等しいか、あるいはこれをこえることが明らかである。それゆえ、前記の計算式に従つて算出されるみなし交付金額を清算所得金額に含めて計算することが不合理であるとの原告の主張は失当であり、かえつて右のような計算によつて法人課税を行なうことこそ合理的であるというべきである。そして、右計算式の成立根拠についてはすでに述べたところであるが、この算式は、清算所得のうちみなし交付金を交付株式等及び金銭の価額に加算しない前の価額から所定の税率のもとにおける清算所得の総額、したがつてその差額としてのみなし交付の額を求めるための計算方法を定めたにすぎないものであり、このほかにも別の方法によつて同一の算式の成立を説明しうることは別紙(三)に示すとおりである。

六  証拠<省略>

理由

一、請求原因(一)の事実は当事者間に争いがない。

二、本件の主要な争点は、法人の合併の場合において、合併法人が納付する被合併法人の清算所得に対する法人税又はその法人税額に係る地方税法の規定による道府県民税額もしくは市町村民税額もしくは清算所得に対する事業税額に相当する金額を、旧法人税法(昭和四〇年法律第三四号による改正前のもの)一三条一項二号にいう「合併法人が被合併法人の株主、社員又は出資者に対し交付する金銭の総額」に含めて清算所得金額を計算することが許されるかどうかにある。よつて、以下この点について判断する。

(一)  旧法人税法は、法人の清算所得に対し清算所得金額を課税標準として法人税を課することとし(八条)、その一三条一項一号において、法人が解散した場合の清算所得の計算を定めるとともに、同項二号において、法人が合併した場合の清算所得の計算につき、「合併法人が被合併法人の株主、社員又は出資者に対し交付する株式又は出資の価額の総額及び金銭の総額の合計額が、被合併法人の合併当時の資本又は出資の金額をこえる場合のそのこえる金額のうち、被合併法人の合併当時の資本積立金額及び再評価積立金額以外の金額から成る部分の金額」によると規定し、また、その一七条一項三号において、同法九条七項掲記の特別法人を除く通常の法人の清算所得に対する税率を、「清算所得金額のうち積立金及び非課税所得から応る部分の金額」につき一〇〇分の二〇、「清算所得金額のうち積立金及び非課税所得から成る部分の金額以外の金額」につき一〇〇分の四三と定めている。すなわち、法人の合併の場合には、合併法人が被合併法人の権利義務を包括的に承継し、これに対して、被合併法人の株主等は、合併法人の株式又は出資の割当てを受けるほか、合併交付金といわれる金銭の交付を受けることもあるので、これらの交付株式又は出資の総額及び金銭の総額の合計額が被合併法人の合併当時の資本又は出資の金額並びに性質上これに準ずべき資本積立金額及び再評価積立金額(以下これを資本金額等という。)をこえる場合に、そのこえる金額をもつて合併による清算所得としているのであるが、他方、旧所得税法(昭和四〇年法律第三三号による改正前のもの)六条八号の規定によれば、法人が合併した場合において、被合併法人の株主、社員又は出資者が合併法人から合併により取得する株式又は出資の価額及び金銭の額の合計額が、株主、社員又は出資者が被合併法人の株式又は出資を取得するために要した金額を超過する場合におけるその超過金額については、所得税を課さないものと定められている。そこで、これらの規定から、旧法人税法が合併による清算所得に対し法人税を課することとした趣旨を考えてみると、法人の合併は、吸収合併たると新設合併たるとを問わず、実質的には、被合併法人がその純資産の全部を合併法人に引継いで消滅し、その対価として被合併法人の株主等が合併法人から株式等及び金銭の交付を受けるものであるから、右の交付株式等及び金銭はあたかも被合併法人が清算してその資産が株主等に分配されるものに相当し、この価額が被合併法人の資本金額等をこえる場合に当該超過額を清算所得として法人税を課することにしているのである。したがつて、この超過額のうちには、過去の積立金及び非課税所得から成る部分とそれ以外のものとが含まれていることになるが、これらに対して法人税を課するということは、法人の所得に対する本来の法人税課税のほかにこれらを被合併法人の株主等に分配することに伴う課税をもあわせ行なうものであることに留意しなければならない。すなわち、清算所得金額のうち、まず、積立金及び非課税所得から成る部分の金額以外の金額に対する課税についていえばその部分は、それまで隠れていた被合併法人の含み資産が合併により現実化して、その対価が被合併法人の株主等に分配されるものとみられるので、その機会に、右のいわば従来課税もれになつていた法人資産の含み益に対して本来の法人税を課すると同時に、右資産の対価の分配によつて被合併法人の株主等が受ける一種の利益配当に対する所得税の課税に代わるべきものをもこの段階で一括課税しようとしたものであり、また、積立金及び非課税所得から成る部分の金額に対する課税についていえば、その部分は、すでに被合併法人の所得として課税ずみであるかもしくは非課税とされる所得の対価が合併により被合併法人の株主等に分配されるものであるから、これについては、もつぱら右株主等の受ける前記の一種の利益配当に対する所得税の課税に代わる課税のみを法人段階で行なおうとしたものと解される。清算所得金額中積立金及び非課税所得から成る部分の金額とその他の部分の金額とで法人税の税率を異にし、また、旧所得税法が被合併法人の株主等の合併によつて受ける一種の利益配当に対し所得税を課さないこととしたのは、右の理由によるものである。ところで、法人の合併による清算所得に対しては、法人税のほかに、地方税法の規定により道府県民税及び市町村民税(いずれも法人税割のものに限る。旧地方税法(昭和四〇年法律第三五号による改正前のもの)五一条、五三条二項但書、三一四条の六、三二一条の八第二項但書)並びに事業税(その課税標準は法人税の課税標準たる清算所得金額から更に積立金額が控除される。同法七二条の一二、七二条の一四第二項二号)が課税され、右法人税、道府県民税、市町村民税及び事業税のいずれについても合併法人がその申告納付義務を負うとされているが(法人税につき旧法人税法二二条の五、道府県民税につき旧地方税法五三条二項、市町村民税につき三二一条の八第二項、事業税につき同法七二条の三二)、旧法人税法の下における以上のような合併による清算所得及びこれに対する法人税課税の趣旨からすれば、清算所得に対して課される法人税、道府県民税、市町村民税及び事業税(以下これらを合わせて法人税等という。)は、本来、被合併法人の最終的な整理として、被合併法人の清算所得そのもの、すなわち合併法人が被合併法人の資本金額等をこえてその株主等に分配する受入資産の対価のうちから納付される筋合のものであつて、法がこれらの税の納付義務を合併法人に負わせたのは、右の対価が個々の株主等に分配された後に改めてその分配額のうちから徴税する煩を避けるために、これに代わり便宜上一括して納付させようとしたものにすぎないと解するのが相当であり、したがつて、右の法人税等の税額に相当する金額が法人税課税の対象としての当該清算所得金額に含まれるべきことは、清算所得の本質上当然であるということができる。(なお、これらの税のうち、事業税だけは、各事業年度の法人所得の計算上損金とされる点において法人税及び住民税と異なるけれども、もともと清算所得の計算は、各事業年度の所得が期間中の総益金から総損金を控除した純資産額の増加として計算されるのとは違い、端的に合併時における被合併法人の純資産と資本金額等との比較として行なわれるものであるから、各事業年度において事業税が損金に算入されるからといつて、清算所得の計算上も当然にその税額が清算所得金額に含まれないということはできない)。このように考えてくると、旧法人税法一三条一項二号に定める交付株式等及び金銭の合計額とは、要するに、合併法人から被合併法人の株主等に分配される受入資産の対価の総額を意味するものであつて、清算所得に対する法人税等は、まさに右の対価のうちから支払われるべきものを合併法人が代つて納付するものにほかならず、換言すれば、右の税額に相当する金額は税法上いわば合併交付金中の支払いを留保された金額といいうるのであるから、その税額相当額が、清算所得の計算上、現実の交付金と並んで、右規定にいう「合併法人が被合併法人の株主等に対し交付する金銭の総額」に含まれると解することは、決して規定の文言を無視するものではなく、むしろ事柄の実質に則した合理的な解釈であるといわなければならない。

(二)  これに対し、原告は、合併による清算所得に対する法人税課税の本質は、被合併法人の株主等が合併によつて現実に取得する利益(現実の交付株式等及び金銭の総額のうち資本金額等をこえる部分)についての所得税相当分だけを合併法人に代納させるものであると主張するが、その誤りであることは、同じく清算所得が発生する法人の合併の場合と解散の場合とを比較することによつても明らかである。すなわち、旧法人税法一三条一項一号は、法人が解散した場合の清算所得の計算につき、「その残余財産の価額が解散当時の資本金額をこえる場合のそのこえる金額」によるものと定め、また、同条三項は、「法人が清算中に納付した又は納付すべき法人税額もしくは地方税法の規定によるその法人税額に係る道府県民税額もしくは市町村民税額もしくは清算所得に対する事業税額又は再評価税額は、これを残余財産の価額に算入する。」と規定している。これによれば、法人の解散の場合には、その全財産を換価して債務を弁済した後の残余財産の価額が解散当時の資本金額等をこえる場合に、その超過額が清算所得として法人税を課税されるわけであるが、この課税の趣旨も、要するに、右の清算所得の内容が解散によつて実現した法人資産の含み益と清算中に生じた新たな所得とから成るものであるため、これについていわば従来課税もれになつていた本来の法人税を課するとともに、株主等個人が取得する清算分配金に対する所得税の課税に代わる課税をもこの段階で一括して行なうことにあるものと解される。したがつて、このような清算所得に対する法人税等は当然右残余財産のうちから納付されるのであり、残余財産からこれらの税額を控除した残額が解散法人の株主等に対して現実に分配される清算分配金となるのである。これを合併の場合と対比してみると、合併の場合には、清算中の所得なるものが発生する余地はなく、また、被合併法人の資産も直接時価に換価されずに合併による交付株式等の払込価額及び合併交付金の総額としてあらわされる点に違いはあるが、被合併法人が消滅してその資産が交付株式等及び交付金となる関係は、解散の場合に法人が消滅してその資産が残余財産になるのと同視しうるものであつて、いずれも課税されるべき清算所得の本質においてなんらの差異も認められず、また、被合併法人の株主等が合併法人から現実に交付を受ける株式等及び金銭は、解散の場合の清算分配金に相当するものということができる。そうであるならば、合併の場合における交付株式等及び金銭の総額は解散の場合の残余財産の価額と清算所得の計算上その範囲を同じくすると解するのが合理的であり、解散による清算所得金額に清算所得に対する法人税額等が含まれる以上、合併の場合についてもその理は同様でなければならない。

(三)  以上の理由により、旧法人税法一三条一項二号の規定の解釈上、合併法人が納付する清算所得に対する法人税額等に相当する金額は、合併法人が被合併法人の株主等に対し交付する金銭の総額に含まれるものというべきであり、旧法人税法施行規則(昭和四〇年政令第九七号による改正前のもの)二三条の一一が、これらの税額相当額を合併交付金とみなして清算所得金額を計算する旨を定めたのは、このことを明らかにしたものにすぎないと解するのが相当である。したがつて、右法人税額等を清算所得金額に含めて清算所得に対する法人税を課することはなんら租税法律主義に違反するものではない。

(四)  原告は、清算所得の範囲について右のような見解をとると、清算所得に対する法人税額等(以下これをみなし交付金という。)が増加すれば清算所得金額も増加し、際限なく繰りかえして法人税等を課税せざるをえないという不合理な結果となることからしても、その誤りであることは明白であると主張する。たしかに、前記の解釈によつた場合、みなし交付金額と清算所得金額とが相互に循環的に増加することは否定できないが、さればといつて最終的な清算所得金額を確定することが計算上決してできないわけではない。本判決事実摘示欄三(二)で用いた符号によつてその計算方法を示せば次のとおりである。

清算所得金額Y=現実の交付株式等及び金銭の額のうち資本金額等をこえる部分の金額(P+Q)+みなし交付金額X…………(1)

みなし交付金額X=(P×A)+(Y-P)×B〔清算所得に対する法人税額〕+{P×A+(Y-P)×B}×O〔法人税額に係る道府県民税額及び市町村民税額〕+(Y-P)×D〔清算所得に対する事業税額(Y-P)については旧地方税法72条の14第2項参照〕

=PA+B(Y-P)+PAC+BC(Y-P)+D(Y-P)

=P(A+AC)+(Y-P)(B+BC+D) Yに(1)式を代入する

=P(A+AC)+(P+Q+X-P)(B+BC+D)

=P(A+AC)+(Q+X)(B+BC+D)

=P=(A+AC)+Q(B+BC+D)+X(B+BC+D)

X-+(B+BC+D)=P(A+AC)+Q(B+BC+D)

X{1-(B+BC+D)}=P(A+AC)+Q(B+BC+D)

X={P(A+AC)+Q(B+BC+D)}/{1-(B+BC+D)}

三、そこで、本件について検討すると、原告が被合併会社の株主に対し現実に交付した株式等の価額のうち被合併会社の合併当時における資本金額(資本積立金及び再評価積立金はなし)をこえる部分の金額が八〇〇万円であり、うち積立金及び非課税所得から成る部分の金額(P)は六五万七、四二九円、積立金及び非課税所得から成る部分の金額以外の金額(Q)は七三四万二、五七一円であること並びに右Pに対する法人税率(A)が一〇〇分の二〇、Q+Xに対する法人税率(B)が一〇〇分の四三、(以上旧法人税法一七条一項三号)法人税額に係る道府県民税率及び市町村民税率(C)が一、〇〇〇分の一三五(旧地方税法五一条一項及び三一四条の六第一項各所定の標準税率。なお、均等割を加算しないことについては同法五三条二項但書及び三二一条の八第二項但書)、清算所得に対する事業税率(D)が一〇〇分の一二(地方税法七二条の二二第一項所定の標準税率)であることはいずれも当事者間に争いがないから、これらの各数値を前記算式にあてはめてみなし交付金額(X)を計算すると、一、一七七万一、六一八円となる。したがつて、本件の清算所得金額は前記八〇〇万円に右一、一七七万一、六一八円を加えた一、九七七万、一、六一八円となり、うち積立金及び非課税所得から成る部分の金額は六五万七、四二九円、積立金等及び非課税所得から成る部分の金額以外の金額は一、九一一万四、一八九円となるから、これに旧法人税法一七条一項三号所定の法人税率を乗ずると、右清算所得に対する法人税額が本件更正処分のとおり八三五万〇、五八〇円となることが計算上明らかである。

原告は、被合併会社の株主が被合併会社の資本金額をこえて現実に交付を受けた株式等の価額が八〇〇万円であるのに、法人税として八三五万円余の課税をすることは、所得額以上の課税をするのに等しく、実質課税の原則に違反すると主張するが、すでに説明した清算所得課税の趣旨からして、右株主等個人の所得額と清算所得に対する法人税額とを比較することは前提において誤りがあるといわなければならない。

四、最後に、原告は、本件更正処分の附記理由が不備であると主張するが、成立に争いのない甲第六号証の二の本件更正通知書の記載によると、更正の理由が詳細に附記されていることが明らかであるから、右主張も失当である。

五、以上のしだいで、本件更正処分につき原告主張の違法事由はなく、他にこれを違法とすべき点はない。よつて、右処分の取消しを求める本訴請求を棄却することとし、訴訟費用の負担につき民事訴訟法八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判官 緒方節郎 小木曽競 佐藤繁)

別紙 (一)

まず、解散の場合を計算してみると、ある法人が解散し、その残余財産の価額が二、七七七万一、六一八円で、解散当時の資本又は出資の金額、資本積立金額及び再評価積立金額の合計額(以下、資本金等の合計額という。)が八〇〇万円であつた場合の清算所得の金額は、二、七七七万一、六一八円と八〇〇万円との差額一、九七七万一、六一八円であり(旧法人税法一三条一項一号)、このうち株主等が分配を受けることができる部分は、この清算所得一、九七七万一、六一八円からこれに対する法人税、この法人税額に係る地方税法の規定による道府県民税額もしくは市町村民税額もしくは清算所得に対する事業税額の合計(以下法人税等の合計額という。)一、一七七万一、六一八円〔657,429円×(20/100+20/100+135/1000)+19,114,189円×(43/100+43/100×135/1000+12/100)=11,771,618円 657,429円は清算所得19,771,618円のうち積立金及び非課税所得からなる部分の金額、19,114,189円は清算所得19,771,618円のうち前記の657,429円以外からなる部分の金額、20/100は清算所得のうち積立金及び非課税所得からなる部分に対する税率、43/100は清算所得のうち積立金及び非課税所得からなる部分の金額以外の部分に対する税率、135/1000は清算所得に対する道府県民税と市町村民税の合計税率、12/100は事業税の税率である〕を差し引いた八〇〇万円となる。

次に、合併の場合を計算してみると、ある法人が合併し、被合併法人の株主等が合併法人から現実に交付を受けた株式又は出資の価額の総額及び金銭の総額の合計額から被合併法人の合併当時の資本金等の合計額を差し引いた額(被合併法人の清算所得に対する法人税等の納税義務が合併法人にあるため、経済上解散法人の株主等が清算所得からこれに対する法人税等を差し引き分配を受けることができるものと同一視うるもの)が前記解散法人の株主等が清算所得として分配をうけることができた八〇〇万円と同額である場合の被告計算による被合併法人の清算所得は、これにみなし交付金一、一七七万一、六一八円〔657,429円×(20/100+20/100×135/1000)+7,342,571円×(43/100+43/100×135/1000+12/100)1-(43/100+43/100×135/1000+12/100)=11,771,618円、計算の内容は本件課税処分のみなし交付金の計算と同一のものである。〕を加算した一、九七七万一、六一八円となるのであり、この清算所得の金額は、前記解散法人の清算所得金額一、九七七万一、六一八円と同額となるのである。

別紙 (二)

(以下においては、株主は一人とし、会社の合併による所得以外の所得はないものとする)。

まず、変動所得の平均課税の適用を受けない場合として所得税と地方税の合計額を計算した場合について

被合併法人の株主等が合併法人から取得した株式及び金銭の合計額

二、七七七万一、六一八円

D′の金額

被合併法人の株式を取得するために要した金額

八〇〇万円

A′の金額

所得金額

一、九七七万一、六〇〇円

27,771,618-8,000,000=19,771,600円

課税標準額

一、九六七万一、六〇〇円

19,771,600-100,000=19,671,600円

旧所得税法九条一項

所得税額

一、〇六〇万九、三八〇円

19,671,600×55/100-210,000=10,609,380円

旧所得税法一三条

地方税額

一九一万〇、三八〇円

10,609,380×18/100+700=1,910,380円

地方税法(昭和二六年法律第二八五号)三一一条、三一三条一項

所得税・地方税の合計額

一、二五一万九、七六〇円

10,609,380+1,910,380=12,519,760円

C′の金額

別紙 (三)

(以下の符号は被告が三において用いたところと同様の意味で用いる)

みなし交付金加算前の清算所得(R=P+Q)に対する法人税等〔P(A+AC)+Q(B+BC+D)〕を求め、これは清算所得とみなされるから、更にこれに対する法人税等{〔P(A+AC)+Q(B+BC+D)〕(B+BC+D)}を求め、これもまた清算所得とみなされるから、これに対する法人税等{〔P(A+AC)+Q(B+BC+D)〕(B+BC+D)2〕を求め、これもまた清算所得とみなされるから、これに対する法人税等を求めるといつたことを繰り返し(((n回目){〔P(A+AC)+Q(B+BC+D)〕(B+BC+D)n-1}))これら法人税等の総和を「みなし交付金」とする方法であつて、その計算過程は次のとおりである。

次に、変動所得の平均課税の適用を受ける場合として所得税と地方税の合計額を計算した場合について

被合併法人の株主等が合併法人から取得した株式及び金銭の合計額(1)

二、七七七万一、六一八円

D′の金額

被合併法人の株式を取得するために要した金額(2)

八〇〇万円

A′の金額

みなし配当額

六五万七、四二九円

(1)から(2)を控除した金額のうち積立金等から成る部分の金額旧所得税法五条一項三号

みなし譲渡額

一、九一一万四、一八九円

(1)から(2)を控除した金額のうち積立金等以外から成る部分の金額旧所得税法一〇条の二第三項二号

調整所得金額

四五八万〇、二〇〇円

657,429+19,114,189×1/5=4,580,200円

旧所得税法一四条一項一号

同所得税額

二三〇万九、一一〇円

4,580,200×55/100-210,000=2,309,110円

旧所得税法一三条

右所得税額の調整所得金額に対する割合

〇、五〇

2,309,110÷4,580,200=0.50

旧所得税法一四条一項二号、同法施行規則一三条二項

特別所得金額

一、五二九万一、三五一円

19,114,189×4/5 15,291,351円

旧所得税法一四条一項二号

同所得税額

七六四万五、六七五円

15,291,351×0.5=7,645,675円

旧所得税法一四条一項二号

所得税額合計

九九五万四、七八〇円

2,309,110+7,645,675=9,954,780円

旧所得税法一四条一項本文

地方税額

一七九万二、五六〇円

9,954,780×18/100+700=1,792,560円

地方税法(昭和二六年法律第二八五号)三一一条、三一三条一項

所得税・地方税の合計額

一、一七四万七、三四〇円

9,954,780+1,792,560=11,747,340円

C′の金額

図<省略>

今(A+AC)をa(B+BC+D)をbとすれば「みなし交付金」Xは次の(1)式のとおりとなり、これにbを掛けたものは(2)式のとおりとなり、(1)式から(2)式を差引けば(3)式のとおりとなる。

(1) 式

X=(Pa+Qb)+(Pa+Qb)b+(Pa+Qb)b2+

………+(Pa+Qb)bn-1

(2) 式

Xb=(Pa+Qb)b+(Pa+Qb)b2+(Pa+Qb)b3+

………+(Pa+Qb)bn

(1)式-(2)式=(3)式

X-Xb=(Pa+Qb)-(Pa+Qb)bn

ところでnが無限大の場合、bが1より小さければbn→0であるから

lim.X={(Pa+Qb)-(Pa+Qb)bn}/{1-b}=(Pa+Qb)/{1-b}

n→∞

となりみなし交付金Xは下記のとおりとなる。

X=P(A+AC)+Q(B+BC+D)/1-(B+BC+D)

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